グレイナイン、テンパる



 それはドリムゴード事件が解決し、半年後のこと。
 先生ことクロラット=ジオ=クロックスと自分グレイナインが暗黒シティを発つ少し前の出来事です。

「やっほー、二人共来てくれる?ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど」
 仕事も中頃のお昼休み、我らがホーム梟工房に一人の女声の声が響き渡りました。
「あれ。この声はマスタ?」
昼食を食べる箸の手を止め驚く自分。今玄関ホールから聞こえた声は、紛れも無く我がマスタことカタナ=シラバノのものです。しかもその声はいつにも増して上機嫌で弾んでいます。
「どうしたんだろうね。今日は彼女シラバノコーポに出勤の予定じゃなかったっけ?」
 と、同じく箸を休め先生。
 ドリムゴード事件から半年後、自分と先生とマスタの3人は暗黒シティ南部の市街地にて、小さな機動工具店を開いていました。
 尤もシラバノグループの総帥でもあるマスタは週に2~3日ほど本社ビルに出勤し店を開けています。この日も仕事のチェックがあるとかで、朝から出勤している筈でした。
「どうなされたのです、マスタ。もう仕事が片付いたのですか?」
 と、玄関ホールへと続く簾をくぐり、お迎えに上がる先生と自分。
 しかし、
「ええっ!?マスタ!?」
「何だい?そのカッコ」
そこに立っているマスタを目にし、自分たち二人は息を飲みました。
 まあ無理も無いことでしょう。だって打放しコンクリートの無骨な玄関ホール、その中央に立つマスタが身につけていたのは………………、

次へ