一体、どれだけの年月が経ったのだろう。私が冒険を始めたあの日から。
 何十年。何百年。いや、もっとか……。
 ありきたりな表現だが、ずいぶん遠いところまで来たなと思う。

 たくさんの国を巡り、たくさんの人と出会い、たくさんの事件を潜り抜けた。楽しかったことも、悲しかったことも、その全てが大切な思い出だ。
 様々なの困難を乗り越える中で、私はどれくらい成長できたのだろう。
 少しはマシになったのか、未熟者のままなのか。まあ容姿だけは、悲しいほどにあの頃のままなのだけれど。
 これもREIドールに生まれた宿命か。まあ、とうに受け入れていたことではある。
 いや、正直言うと今でももう少し、各部位がボリュームアップしてくれないものかと、願ってはいるのだが。

 ―――まあ、私のことはさておき、世界の方はというと、随分変わってしまったように思う。
 罅割れた大地に、倒壊した高層ビル。
 繰り返された戦争と、たて続きに起きた災厄によって、世界はすっかりl荒廃してしまっていた
 そして……、そこに住む人々もまた、随分と変わってしまっていた。

 かつてこの世界の大半を支配していた人類は、今では大きくその数を減らしていた。
 この街だけで数十人。世界を探しても数十万人といったところか。
 今では各大陸の主要都市を巡ったところで、人っ子一人見つけるもの難しい。
 なにせ、ただでさえ数が少ないのに加え、生き残っている人々もまた、僻地や地下シェルターに隠れ潜んでいるからだ。

 一体なぜ、人類はここまで衰退してしまったのか。理由は簡単である。
 変わりゆく世界に適応できなかったことと、目の前の彼ら“新人類”との戦いに敗れたからだ。