「くすくすくす」
「優輝ちゃん?」
「生意気だぞー。剣太郎くんの分際で、私を守りたいだなんて!」
「いたっ!?」
 気付いたら、私はこつんと彼の額を小突いていた。
「君は弱っちいんだから。いつまでも私達に守られていればいいんだよ」
「いたた。そんな……。そりゃ優輝ちゃんには敵わないけどさ。ぼくだって少しは自分を鍛えて……」
 拗ねたように剣太郎くん。
「最近はバイトだって始めたし……」
「あはは、そうだったね」
 それも知っている。
 日を追うごとに、君が一歩一歩前へと進んでいることを。少しずつ以前の君から変わっていることを。
 そうして君が変わっていくのなら、私の君に対する想いだって変わっていって当然なのだろう。

 大切なことは変わらない。
 でもその意味合いは少しずつ変わっていく。
 二人の関係も、変わっていく。
 それは悪いことなのだろうか。
 いや、そうとは思えない。
 この胸に湧き上がる暖かい想いは、そう悪いものとは思えないから。

「えーと、それで、何か大変なことになっているんだっけ? 早く助けに行った方がいいのかな?」
 流石にあそこまで青臭いセリフを言うと照れるのか。ちょっと誤魔化すかのように言う剣太郎くん。
 そんな彼に、
「ねえ、剣太郎くん。これから遊びに行かない?」
 気が付けば私はそんなセリフを口にしていた。
「え? 遊びに行くって今から?」
「そう。二人で。ちょっと街に繰り出してみようよ」
「えーと、他のみんなは?」
「皆には内緒で。……駄目かな?」
 驚いたように目を丸くする剣太郎くん。
 私自身も自分が言ったことに、驚いていた。
 他の皆を置いて二人きりで遊びに行こうだなんて、今までそんなこと言ったことあったっけか?
「えーと、でも、みんな大変なことになっているって……」
「それなら大丈夫。さっき男子たちに救援要請を送っておいたから」
 根っこはお人よしの彼らだ。早ければ調理室にたどり着いているころだろう。

「うおおおおおお! なんだ、このマシュマロ地獄は!?」
「馬鹿? 馬鹿なの、お前ら!?」
「ええい帰れ、男ども! 情けなど受けぬ!」
「あほか! スコップもってこい! スコップ!」
「ていうかこのマシュマロ、俺たちのことも飲み込んで……」
「自我持ってんぞ、このマシュマロ!」