剣太郎君は、私たちのクラスでも、ちょっと特殊な立ち位置にいる男の子であった。
 水色の髪の温厚な少年。
 数年前、私たちはさる事件で彼を保護し、以後自分たちの手で育ててきた。
 育てるとはまさにそのままの意味で、役所に頼るでもなく、大人たちに頼るでもなく、自分達の力で彼を養ってきたのである。
 生活費をバイトで稼いだり、署名運動をやったり、まあいろいろやった。
 それがいいことだったのか、悪いことだったのかはわからない。あるいは……、何かが歪だったのかもしれない。
 それでも、私たちは懸命に、彼を育て上げてきた。喧嘩ばかりの男子と女子も、彼の教育のためともなれば、協力して知恵を出し合ったものだった。
 故に彼は私達のクラスの象徴。私たちのクラスで唯一中立が許される男の子なのである。

 そして、私個人にとっても彼は特別な存在であった。
 というのも、あの日彼を発見したのは私で、保護しようと言いだしたのも私だったからだ。
 そのせいで変な使命感に目覚めてしまったのか、彼の面倒を一番親身に見てきたのは、私だったと思う。
 時に助け、時に説教し、一番近くで彼の成長を見守ってきた。
 これで情が移らない方がおかしいというものだろう。
 故に私が彼にチョコを渡すのは当然のこと。
 友情と親愛の証として、彼においしいチョコレートを食べてもらうのだ。