「でたよ、君の悪い癖」
 受話器の向こうで彼女は笑っていた。




「好きな子にすぐ意地悪しちゃうんだからねー」
「………ぼくだけを悪者にしないでくれるかな?このことは君にも了承取ったはずだけれど」
 月に一度の次元間通信にもかかわらず彼女は相変わらずだった。
「それにしたって唐突だったんじゃない?もう少し段階を踏んでもよかったと思うけど」
「段階なら十分踏んだよ。むしろ踏みすぎたくらいだ。彼女の成長を妨げてしまったくらいに」
「なるほど。自分に対する罰でもあったわけね」
 からかうように言う彼女になぜか脅威を覚える。
 最近彼女から妙な迫力を感じるのは気のせいか。
 精神的な脆さが消えたというか、女将さん的貫録(?)がついたというか。
 その原因はなんだろうと考えて、なぜだか寒気を覚える自分であった。