「それが、この暗黒シティなわけですね」
「いや、ですねって言われても………」
 にこやかに語る少女の話に、さすがに私はついていけなかった。

 何兆年も続いた悠久の平和?
 すべてを制御できるようになった人類?
 そんなこと、どこの歴史書にも載っていない。
 では少女の話が嘘なのか。
 あるいは………、“この世界”の方が嘘なのか。

 いずれにせよ、今の話で突っ込めるか所があるとしたら一つだろう。
「つまり、黄金の夜は実在しない?あなた……、その女の子が流した作り話ということ?」
「いえ、そういうわけではないのですがね」
 否定する彼女。
「というわけで、ここからが皆さんに関係のある話なのですが」
 そうして少女は話を続ける。


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