そうして、彼女の旅が始まった。
 おそらく彼女の言う通り、彼女にとって最後の旅が。

 かつて最も偉大なる英雄として讃えられた彼女。しかし、その生涯最後に待っていたのは、これまでで最も過酷で孤独な旅だった。
 行く先に待つのは、荒寥とした死の世界と、彼女の命を狙う数十万の同胞たち。
 仲間はいない。楽しいこともない。ただただ身と心を削る過酷な旅。
 それでも、

「今回の旅はちょっと厳しくなりそうかな」

 彼女はいつものように、鼻歌交じりで冒険に発つ。

 過去と未来をつなぐため。
 暗闇の底で黄金を掴むため。
 それこそが彼女の望んだ生き方だといわんばかりに。

 果たして彼女は目的の地にたどりつけるのか。
 その冒険の果てに、何を見るのか。
 彼女の真価が、今問われることになる。

 彼女にとって本当の冒険は、ここから始まる。


DGワード外伝
最果てのグレイナイン 完