暗闇からドームに足を踏み入れる新たな来訪者。 「え………?」 その顔を見て………、またしても自分は絶句した。 ただし、今度はその人物が異形だったから、ではない。 ![]() その逆。その人が、あまりに“見覚えのある人”だったからである。 「どうしてあなたがここに…………?」 戸惑う自分の横で、 「………………。そうですか。あなたも来ていたんですね」 と、絞り出すような声で黒マントの彼女。 握りしめたその拳からは血がしたたり落ちていた。 「やはり、見間違いではなかったのですね。僕がSIDE:Nで見たものは………。あの時、刀也君を殺したのは………」 声を震わせる彼女の顔には、悲痛な表情が浮かんでいた。 それは見たくない現実を突き付けられた、幼き少女の横顔。 「やはり、あなたこそが黒幕。ぼくたちの中にいた、裏切り者……!」 彼女の糾弾に対し、なおも穏やかな笑みを浮かべる“その人”。 「そうやって、ぼくたちを欺き続けてきたというのですか、あなたは!僕たちに協力するふりをしながら、裏で自分の計画を進めて………。何故です!?どうしてあなたはそこまでして暗黒シティを滅ぼそうとするのですか!一体何があなたを変えてしまって………?」 「あははははははははは!いいよ、グレイナイン。その嘆き!苦しみ!まさしくかつて僕が味わったものだ!」 そう笑って答えたのは異形の彼女の方であった。 彼女は一歩前に踏み出して、 「でもまだ足りないよ、グレイナイン。君のその黒き記憶。絶望、全て味わわせてもらわなければ」 そういって、懐から一つの鍵を取り出す。 「あれは、まさか……」 嫌な予感は的中する。 彼女手にした鍵は、またしても秘宝の鍵の一つ真夜の鍵であった。 「どうして……」 なぜあちこちから真夜の鍵が出てくるのか。 そのヒントはすでにそろっている気がしたが、 『なんなら教えてあげようか?そこの彼がどのような最後を迎え、死に際になにを言い残したのかを』 それはあまりに恐ろしいことを意味している気がして、本能がそれ以上考えることを拒否していた。 「真夜の鍵、アクティブ」 黒い輝きを放つ異形の彼女が持つ真夜の鍵。それは瞬く間に巨大化したかと思うと、剣、槍、弓と形を変え、 「真夜の鍵ナインスモード………。ナイトスライダー」 やがて、一振りの鎌となった。 黒と白で構成された一振りの鎌。古美術品を思わせる美しさのその鎌の刃から放たれるREIは、尋常な量ではなく、一目でそれが異質なものだとわかった。 「さあいくよ、グレイナイン。君はどこまで自分の“絶望”にあがけるのかな!?」 そういって、鎌を振り上げ向かってくる彼女に対し、 「!」 頭上から降り注ぐ光の豪雨。 「っとと!」 上空のロージュさんだろう。彼の大砲から放たれた無数のビームが、異形の彼女の行動を封じる。 「……………ぼくは、あきらめません」 その隙に、グレイナインさんは一歩前へ出た。 そして、真夜の鍵を天に掲げる。 「だって僕は探偵だから!探偵はどんな難事件にも迷宮にも背を向けてはいけないんです!」 光輝く真夜の鍵。それは先ほどマスターが使っていた剣に形を変えたと思うと、 「真夜の鍵サードモード。ナイトバンカー………!」 次の瞬間さら巨大化し、黒白で構成された槍となった。 そこから放たれるREIの波動は、異形の彼女の鎌にこそ劣るものの、やはり強大。 「…………………」 そこで、今まで黙っていた“その人”が一歩前に出た。 見ればその人の手にも一本の槍、のようなものが握られていた。 二人に勝るにも劣らぬREIを振りまく真白き槍。その人はそれを振りかぶると、 『全てを貫くモノ』 静かに呟き、槍を投擲した。 神速の槍は音の壁をぶち抜き少女に迫る。 しかし、彼女は一歩も引くことはなく、 「ぼくは守って見せます。みんなの思いが詰まったこの街を」 膨大なREIをまき散らすその槍は、直撃すればひとたまりもあるまい。 それでも彼女は正面を見据えながら、 「だから負けない。あなたがあくまで暗黒シティを滅ぼすというのなら……」 槍を振りかぶりながら彼女。瞬間、全身をばねにして、 「ぼくが、あなたを止めるまでです……!ゴードハード!」 全力で、槍を撃ち放った。 直後、激突する二本の槍。巻き起こった衝撃波が、ついに残ったドームの残骸を消し飛ばした。 真白き閃光に包まれた空間に、なおも剣戟が鳴り響く。 戦いは続いている。 今の自分にはまだそこに足を踏み入れることすらできなかった。 これが自分、セブン=ドリムゴードがその戦いに関わった最初の出来事である。 この戦争が何をもたらすのか。その真相がどこにあるのか。今の自分には皆目見当がつかなかった。 蠢く陰謀。激突する未来と並行世界。 最終戦争ゴードハード。 その結末が語られるのは、また別の物語にて。 Gold Heart!! SIDE:C closed |
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