気が付けば目の前に浮かぶ一本の鍵。白と黒の鍵が螺旋を描いたそれは、俺がナイツに加盟するうえで手に入れた最初の秘宝、真夜の鍵。
「立ち上がるんだ、クロくん。まだ君の命は燃え尽きていないよ」
 と、光輝く真夜の鍵。光はやがて人型を形作り、現れたのはメガネをかけた白髪の少年であった。
「お前は………」



「黄金の夜までもう一息だ。さあ気合を入れ直して、ハッスルハッスル!」
 ガッツポーズでエールをくれる小柄な少年。そんな彼を俺は……、
「―――どちら様ですかね。あなたみたいなお子様に心当たりはないんですけど」
 正直、相手にするのも面倒くさかった。
「ええ―――――っ!?忘れちゃったのかい、僕のことを」
 すっとんきょうな声を上げる白髪の少年。よよよ、とわざとらしく崩れ落ちるあたりがまじウゼえ。
「そんな、最初のパートナーである僕を忘れるなんて。君のおかげで僕はさんざん苦労してきたのに……。ご飯を奢ってあげて、お金を貸してあげて……。あ、50億Cの返済がまだだったよね?利子つけて返してください」
 はい、と右手を差し出す白髪の少年。
 俺のテンションはダダ下がり。意識は闇へと急降下。
「ちょっと待った―――――!それ以上下がると本当に死んじゃうから!そっち死後の世界だから。しかも、今の君だと地獄行き濃厚だから!どうせ死ぬなら、もう少し善行を積んでからにしよう!ほら、上をめざして、スイムスイム!」
 ズンドコズンドコ。いよいよ太鼓を打ち出した白髪の少年。
 心底鬱陶しいが、これ以上喧しくされては敵わない。
「ったく、しょうがないな……」
 それに正直言えば、このウザさには覚えがあった。
 それは少年の日、俺が冒険するたびにまとわりついてきた少年。
 何度蹴り飛ばそうがついてくる、白髪のストーカー。
「相変わらずだな、ラット……。ラット=アンダクルスターJr.」
 そう言うと、彼は笑顔を取り戻し、
「うん。久しぶりだね、クロくん」
 そういって、いつだかのように俺に笑いかけるのであった。



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