やれやれ
こまったものだ、あの男も。
カタナのミサイルに紛れ込ませて、こんなものを送りつけてくるとは。
 
それから数分後。
真夜の公園のベンチに腰掛け、青年はため息を吐いた。
手には先ほど開いた封筒と、その中身であるプリントの束が。 
 
  どこで何を知ったのかは知らんけど、いまさら2人を会わせるな、なんていわれてもね。
とっくに二人は出会ってしまったというのに。
 
そう言って彼は、プリントと封筒をびりびりと破り捨てる。
 
  あの二人に何らかの関連性があるのは察していたけど。
どうせだったらその時まで、何も知らずにいたかったものだ。
今更なにかあるとわかったところで、僕にできることなんてなかろうに。
 
 
  それともわかったうえでこれを送りつけたのか?
僕を心配しているのか、苦しめたいのか?
あるいは彼女に負けた仕返しか?
ほんとういつまでたっても子供だね、あの男は。
 
ベンチから立ち上がりながら黒髪の青年。
振り返り、今も彼女達が宴会を続けているであろう、遠くにあるアパートの灯を見つめる。
 
  ま、出会ってしまった以上は、あの二人次第さ。
どのみち世界なんて常にお先真っ暗。
人の縁も同じこと。
強固な友情があっけなく崩れることもあれば、危なっかしいからこそ、互いを気遣って、長続きする関係もある。
良縁か悪縁かなんてその時にならなきゃわかりゃしないさ。
 
  そうだろう?
シロボシ。
いや………ジャッジ・アンダクルスター。
 
  そう言って彼が身をひるがえしたのと同時に、一陣の風が公園を吹き抜けた。
地面に散乱したプリントの破片は、風に撒かれ闇夜の空に消えていった。 
 
 
 2022年 グレイナインの日 終
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