9月9日報告書@
徹底比較グレイナインVS輝目良


君はどこまで知っているのだろう。
君の傍らにいる彼女たちのことを。

自らの家から放逐され、極寒の山村で死にかけていた少女。
そこである青年に出会うか否かで、彼女の運命は大きく変わる。

出会わなければ命を落とし、新しい生命体として生まれ変わる。
出会えば命拾いし、大陸の戦争に巻き込まれる。

起源を同じにしながら、全く異なる人生を歩む少女たち。
さながらもっとも最も近く、遠い所にいる2人。

共通する部分もあれば、相容れない部分もあるのだろう。

そこにどのような意味があるのか。
それを知る者はいない。
ふたりが本当の意味での邂逅を果たすまで。

それは必ずしも、いい結果をもたらすとは限らないだろう。
問題はそれが世界にも影響を与えうるということだ。

下にまとめたのは、私が集めさせた、彼女たちに関するデータの断片だ。
これと君の知識を照らし合わせることで、
どうか君がその時に備えることができることを願う。

シロボシより

   グレイナイン

輝目良 

本名 グレイナイン・K・ドリムゴード  輝目良=宮=紅麗 
所属・属性 クロラットの助手
REIドールDGシリーズ9番機
剣皇騎士団狂之助派
見習い騎士
経歴 ある極寒の山村で死んだ少女が、これまたとある科学者の手により、REIドール(魔導人形)として蘇った姿。
最新鋭のREIドール技術で蘇生された彼女は、常人を遙かに上回る強靭な肉体を手に入れたが、実際にはそれでも本来の彼女が持つポテンシャルを再現しきれたとは言えず、どちらかというと劣化修理と言わざるを得ないシロモノである。
それでもDGシリーズ初期ロット最終ナンバーとして作られた彼女は、DGアームズと呼ばれる強力な兵器を有し、その扱い方次第では、ジ・ワードの上位英雄とも互角にわたり合うことができる。
さらに彼女には8つもの空きスロットがあり、他ナンバーのDGアームズを装填することが可能。これも彼女の肉体が持つ高いポテンシャルがあって可能となったことらしい。
とある極寒の山村で死にかけた少女が、たまたま通りすがった某騎士によって救われ、騎士見習いとなった姿。凍死しかけたショックか、それ以前の記憶の大半が失われている。
気まぐれな青年が何故彼女を助けたのかは不明。彼女のもつ高い素質に目をつけ部下にしようとしたのかもしれない。あるいは彼女を鍛え上げることで、自らの"敵”を作り上げようとしたのかもしれない。
戦闘能力
B   REIドールとしての強靭な肉体を生かした高い戦闘能力を発揮する。
さらに戦闘を重ねることで、脳内チップにデータが蓄積され、より高度な戦闘技術の行使が可能。……なのだが、チップが破損しているのか、あるいは彼女の単純な性格故か、いつまでたっても戦闘においては力押しが目立つ。
冷静な仲間と組んでこそ、彼女は真価を発揮するのかもしれない。
C   現時点ではサポート型。
騎士見習いとして、先輩騎士たちから厳しい指導を受けている。彼女自身、真面目に訓練に励み、メキメキと戦闘技術は向上しているのだが、大陸上位騎士と渡り合うには、何かが足りないようである。
知力
B    暗黒シティを出て以降、勉学にも励んでいるが、まだまだ頭脳戦をこなせるレベルではない。
とはいえ突飛な発想と柔軟なアイディアでクロラットを助けることもある。
A   狂之助の下で事務仕事をこなしてきたこともあり、要領は良く頭の回転も速い。
ただし、、やや杓子定規で柔軟性に欠ける。
社交性
A    個性派揃いの英雄たちと付き合ってきたこともあり、コミュニケーション能力は高め。初対面の人間とも気軽に打ち解ける。
ただし、根っこの部分ではREIDOLLである自分ににコンプレックスを持っており、決定的なところで他人を立ち入らせない。
B   仕事上、様々な人物と関わることは多いが、根っこはコミュ症で他者との交流は苦手。苦労が絶えないようである。
いっぽうで周りの者からはマスコットキャラ的に気に入られることが多く、彼女が一人いるだけで、職場が和むと好評。
主人公力
A   かの暗黒シティの大事件を解決に導いただけのことはあり、主人公力はほぼカンストしている。
いつでも独立し、自分だけの物語を紡ぐことが可能だろう。
D   血統だけなら文句はないが、彼女自身は未だだ大舞台に立ったこともなく、主人公力は低いと言わざるを得ない。
このまま主の従者であり続ければ、特に大成することなく、ただの一騎士として生涯を終えるだろう。
もっとも、彼女の主がそれを許すとは思えないが。
武器
A   真夜の鍵
秘宝の鍵の一つにして古代秘宝真夜シリーズの一つ。展開することで真夜の剣という強力な兵器となるが、現在のグレイナインのレベルでは、完全に使いこなすことはできない。
A   謎の宝玉
狂之助に拾われた際、すでに彼女が持っていた謎の宝玉。どうやら彼女の家の家宝のようだ。とてつもない力を秘めてはいるが、まだ輝目良は宝玉に主と認められておらず、その力を解放することはできない。
 成長性
B    暗黒シティを出立する際、他のDGシリーズからDGアームを譲り受けている。
それらを使いこなせれば、更なる戦闘力の向上が可能。
また彼女の保護者から、様々な知恵や知識を取り込んでいる。
B   彼女の一族は勇者の末裔とも言われており、その素質が完全に開花すれば、魔王クラスの災厄も単独で対処することが可能。
ただし、現時点ではそれが開花する様子はみられず、このまま平凡な一騎士として終わる可能性も高い。
●●●との契約コード
C   大分破損しているが、理論上は契約可能。
契約することで、彼女自身の肉体に何らかの影響が出ることもありうる。
A   極めて強力な上、すでに一度契約済み。再会することで自動的に再契約が結ばれる可能性も。
 主
A   クロラット・ジオ・クロックス
かの暗黒シティの探偵騎士。
面倒見がいいようで、案外スパルタ。
彼女の大成を願うが故に、あえて千尋の谷に突き落とすこともあるだろう。
 
A   狂之助・弾・黒ノ屑
剣皇騎士団、狂之助派騎士団長にして、彼女の命の恩人。もちろん慈善事業ではなく、何らかの目論見があって彼女を助けたのだろう。
案外子供には甘く、現時点では彼女に対しても良き保護者として接しているようだ。
とはいえ本性は悪党+どSなので、いずれ何らかの形で、彼女に試練を与えると思われる。


もし二人が戦ったら?


現時点では暗黒シティで経験を積んだ、グレイナインが有利と言わざるを得ない。輝目良の杓子定規な戦い方では、機転の利くグレイナインの戦い方に対処しきれないだろう。

しかしよく似た二人の戦いは、互いの成長を促進し、更なる覚醒をもたらしうる。
その時に何が起こるのか。それこそが本当の恐怖だ。

単独でも世界に影響を与えうる少女たち。
その覚醒が二つ同時に起こったとき、世界にどの様な影響を与えるのか。
けっして軽んじていいことではない。

2人の動向に注意せよ。
願わくば、二人を出会わせることなかれ。
ひょっとしたらそれは、とてつもなく深くて暗い"迷宮”への入り口なのかもしれない。

ならばそれを目論んだものが必ず―――
(文章はここで途切れている)



 
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