――――――しかし、結局私は間に合わなかった。

「なん……で」
 目の前に倒れているクロバードくん。
 状況から見て、この体にクロくんの魂が乗り移っているのは間違いないだろう。
 しかし、何度呼びかけたところで彼の瞼が開かれることはなかった。
「これじゃあ、何のために来たのか……」
 あの影を倒した時点で、彼の魂は尽き果ててしまったらしい。
 機動兵器をぶっ飛ばし、私がドームにたどりついたのがつい先ほど。その時点でナイツたちの召喚バトルは始まっていた。
 しかしながら私はそこで、乗り物酔いと体調不良でついにダウン。
 故にできたのは3D映像を用意し、照明システムを乗っ取り、彼に合図を送り続けることくらいであった。
 結果、少しは彼の勝利に貢献できたのかもしれないが……、
「でも、彼が生き残っていないんじゃ……」
 これでは何の意味もない。生き残るべきは、黄金の夜に辿り着くべきは、私ではなく彼だったのに………。
「どうか元気をお出しください、カタナどの……」
 と、背後から声をかけるセブンくん。
「クロラットどのはあなたの生存を知り喜んでおられたはず。決してあなたがここに来たことは無駄ではありません」
 自分もつらいだろうに私を気遣うセブンくん。本当この子は立派だと思う。
「ゆえに今は暗黒シティから脱出を……。マスターもそれを望んでいるはず………」
 しかしそう、彼が口にした時であった。
 カタカタと、何やら周囲から聞こえる金属音。見れば周囲に散乱している秘宝の鍵が小刻みに振動している。
 さらによく見ればdの鍵も微かに光を発しているような。
「これは………」
 と、次の瞬間鍵は弾けるように次々と宙へ舞い上がった。
 異常事態に目を見張る。
 秘宝の鍵は空中で円を描きながら高速で回転していた。さらによく見ればその円の中心にひときわ強く輝く一本の鍵があった。
「真夜の、鍵……」
 白と黒の鍵が螺旋を描いたそれは、紛れもなくクロくんの所有物である真夜の鍵。
「いったい、何が起こって……」
 そう、私が口にした時であった。

「2050年と11か月。思ったよりも早かったですね」

 どこからか、そんな声が聞こえた。


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