気が付けば、真夜の鍵の真上に一人の少女が浮いていた 「あなたは………」 黒と白を縫い合わせたかのような左右非対称なドレス。太縁メガネに獣耳。さらに光輝く翼にほしがたのワッペンと、ちょっと記号詰め込み過ぎじゃね?と思わずにいられないその少女の名は………、 「キィ=ヒストウォーリー……」 そう。彼女こそ26人の日、私を亜空間に呼び出しやがった小生意気な少女、キィ=ヒストウォーリーその人であった。 なんでもDGシステムの管理人にして、この物語のストーリーテラー(自称)。 「ええ。初めまして、カタナさん」 私の問いかけに笑顔で答える彼女。 しかし………、 「違う………」 そう、違った。 目の前の少女は私の知っている彼女ではなかった。 服装が違う、というのもあるが、26人の日に会った彼女はもう少し、見た目も雰囲気も幼かったはずだ。 「そうですね。以前の彼女はあくまで端末ですし」 と、私の考えを読み取ったかのようにメガネの少女。 「彼女は本体の演算中に外界との接触用に用意した端末ですからね。だからこそこちらの人間に協力してもらったわけですし」 なにやら、思わせぶりな視線をこちらに向ける。 「本体、ですって……」 一瞬背筋がぞくっときたが、今は彼女の正体を突き止めることを最優先。何か、大変なことが起きていると、本能的に理解していたからである。 彼女はあのキィがDGシステムの端末だといっている。では、目の前の彼女は…… 「はい。つまりは私こそが古代創造機DGシステムの中枢演算機……。この物語の真の管理人にして、”製作者”。オリジナル・キィ=ヒストウォーリーです」 華やかな笑顔で獣耳の少女。 「そして……」 そう。そしてこれがその瞬間であった。 輝ける夜空は何かを祝福するかのごとく。 輝く粒子の中で彼女は、 「またの名を黄金の夜……。この暗黒シティの中心にして世界に誇る大秘宝、ドリムゴードと申します」 静かに、穏やかにそう告げた。 すなわち………、これが全並行世界史上、人類が大秘宝黄金の夜に直接接触した、その最初の瞬間であった。 |
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